思い出すにも限りあるけど


 それが浮上すると普段の感覚は遠のくので、あくまでもそうであっただろうと言う事実なのですが。




 懇々とひたすら文字だけが湧き上がって来る。でも言葉は意味を成さない。唯一頼れるのは映像だけで、それすら原色をとどめたまま何も映さない。



 一人河原を歩いている時の朱。多分記憶にある一瞬の風景。泣いている。車が行き交う大きい道路に出て、そして又元来た道を戻らなければならない。あたしには居場所がない。ここでない何処にも。死ですらも。



 あたしがいなくなればいい。



 始めから居なければ良かった。探し回る大人の姿が見えた。良いキミだ。始めからそうやって探し続けていれば良かったんだ。だから泣いた。止まらなかった。あたしがいなくなれば。あたしが消えてしまっても。残るものは何もない寂しさ。




 多分無力感だ。


 何故、私の存在を消去するような思考に飛ぶのか良くわからないけれど。



 あのときの孤独は確かに、独りで永遠に取り残される時の恐怖しか表さない。





 分からない分からない、何も分からない、あたしどうすれば良かったのか、何処から間違えていたのか、何も分からない、指標すらない、誰か助けてよ。どうすれば助けてもらえるんだよ。こたえてよこたえてよこたえてよ…