春の雪


 ああいう恋愛はしたくないなぁ…



 悲恋の話ってタイミングがとても悪いんだよね。ロミオとジュリエットもそう。深い理屈は無しに、本当の意味で良い感じの二人が引き離される例はタイミングにばっかり左右される。嫌な事実だよ、それだけ運に支配されてる一生をここまで認識出来るなんて。



 邦画を観ると昔観た「愛する」という映画を思い出します。元は遠藤周作さんの「私が・棄てた・女」とかいう如何にも救いようのない題名の小説なんだけど、映画はこれでもかっちゅー位美化されていてひたすら悲しかった。ハンセン病がまだ差別されていた時代の、誤診により病院送りになってしまった女の子の話。病気の疑いが晴れた後も、病院に居残り孤独に陥りやすい患者さん達を楽しませ続け、最後はトラックにはねられ死んでしまう。彼らが痛い体を懸命に動かし出荷しようとした卵を放り出して、自分だけ逃げるなんて事が出来なかったのです。



 おじいさんの子供の頃の風景。ハンセン病と言うだけで石を投げつけられ、電車では積み荷の車両に押し込められ、二度と会えないわが子を一目見ようと、名前を呼びながら必死に電車を追いかけるお母さん。




 今のところこの映画を越えるものはありません。