耳をすませば見えてくるもの

 例えばエスニックな風景の中に何があるのかとか。


 私は政治的な問題に大いに関心があるけど、思想で突っ走っていけるし、リベラルすぎるし、それはある意味なにももたらさないのを知ってる。けど、誰かが何かを言わないと怒涛のごとく流れ去っていく国民の中にいるわけで、やっぱり一番近いのは発言者になることだと思う。


 私の場合、パートナーが大の旅行好きで、くっついて日本を色々巡りました。日本は綺麗だ。昔、まだ人々がヤオロズの神様を信じていた頃の、多分限りなく近い風景が至るところにある。身の回りのもの全てに感情を宿していた時代の、何かを感じ取れる気がする。


 日本が現在の日本を手に入れる過程で、モラルや感情は随分向上してったけど、ある意味物的な豊かさは、どこか他の場所を搾取し利用しないと成り立たないのです。この点、殆どの人はなにも知らない。知らされていない。アジアの国々が間接的に、しかし確実に、恩恵のように虐げられていく。私達は多分、知らぬ間に沢山の人々の未来を奪い、闇に葬っている。


 知らぬは罪、そして恥。経済や国際社会の仕組みはまるでそのものが神の見えざる手。存在しないのに、影響を与えまた、何かを奪い取っていく。


 海外にも旅行したい。でもその国の何がわかるだろう。その国と日本の関係は、自身が日本人である以上、決して切れはしない。日本国内のように、自然は果たして荘厳な美しさを保つのだろうか。優しい顔も悲しい顔も、身にしみて実感できるのだろうか。