辺境の渡り

幼い頃の記憶

手をつなぎ今は見えない道を歩いた

暗闇の中に浮かび上がる緩やかな静けさ

暖かさは手のひらからじんわりとにじみ

子供は盲目のまま何処までもいける

目を瞑っても変化する四季

色鮮やかに鮮明に

そしてついには喪失し捜し求めるだろう

一度克明に付けられた傷跡故に

デンデラ野をゆく老女はやがて

自分の手のひらからこぼれ落ちていく温もりの中に身を横たえたのか

微かな懐かしさと共に


目を瞑る先に彩る宇宙は

幾多の星をちりばめて

無言のうちにここに在る

お空は大抵広すぎる

海は大抵深すぎる

枯れた宇宙抱えて目を凝らして

時折霞む光

足を引きずってでも

目指して歩いて

旅をする者、辿りつく時、


いつか帰る家。