2006-03-30 とうめいにちかい うた なかなか渡れない。 吊り橋はすぐ、揺れる 谷底はあまりに、暗い それでも川は、地底を、 ゆっくりと潤している。 音が聞けなくて、どうしても聞きたくて、 呆然と、立ち尽くしていた。 重すぎるから、 あまりに、 空洞が、 その跡が。 私では、無理な事。 だからこそ、 敢えて向こう岸に背を向けてもいいとすら、 思ったのだ。 だけど空洞が重すぎて その気持ちを、たぶらかすのはやめようと、 だからただ、見ていた。 足下の砂、細かく、細かく、 時折揺れて、同じように、流れるのを。