とうめいにちかい


 なかなか渡れない。


 吊り橋はすぐ、揺れる



 谷底はあまりに、暗い



 それでも川は、地底を、



 ゆっくりと潤している。



 音が聞けなくて、どうしても聞きたくて、



 呆然と、立ち尽くしていた。



 

 重すぎるから、



 あまりに、



 空洞が、



 その跡が。




 私では、無理な事。


 だからこそ、



 敢えて向こう岸に背を向けてもいいとすら、



 思ったのだ。




 だけど空洞が重すぎて



 その気持ちを、たぶらかすのはやめようと、


 だからただ、見ていた。



 足下の砂、細かく、細かく、



 時折揺れて、同じように、流れるのを。