2006-04-03 成田山 ゆめのつづき 私は成田山下の完全な門前町で生まれ育った。 大晦日の成田の夜に宿る空気は、圧巻だ。 ピン、と張りつめた、緊張感むき出しの沈黙の世界。数時間後には、町全体が参拝客でごった返すというのに。 一体、あの沈黙の中心は何処にあるのか。 そして一体、静寂から一転する瞬間とは、何なのか。 一度は失う故郷の風景だ。 最近思う。故郷は何度でも、失うのが良い。 失う度に、手に取るように分かる。 心に宿る原生風景は、一点の曇り無く、此処に在り続けるのだから。