大量虐殺なんて。



 どんなに誰かを救いたいと思っても、その願いは、世界が平和になればいいのにという無謀な祈りにも似た無意味さを持つ。何も知らないで大きい事言うな、口が腐る。



 愚かだ。
 何もかも。誰もかも。自分なんて特に。


 医学を学んだからって。少し人体が分かるからって。私は何も見えない、言えない、ただ虚しいだけ。これは悲しさではない。きっと底知れぬ虚無。人は愛する、憎む、両者は共存しかつ歩み寄る事はない。認める事により生まれるのはただの虚無。誰も彼も守るなんて究極の理想。アホらしい妄想。



 うまくまとまらないけど、ホテル・ルワンダはそういう映画だった。フツ族によるツチ族の大虐殺。両者の違いは鼻の大きさ、肌の黒さ。それだけの違いなのに、道に並ぶナタによる惨殺死体。テディベアを突き刺したままナタを振り回す兵士。




 インディアンの迫害も、ユダヤ人の大虐殺も、イスラエルの情勢も、スーダンの近況も、何もかも同じで、何もかも残忍でばからしい。虚しかった。かわいそうとかじゃない。ただただ虚しかった。