峠を越えない雲より


 山を越えたら山


 川の終点は見えない


 追っても追ってもたどり着けない


 たどり着かない


 そんな閉ざされた世界に夢を託して


 それだけが私達の現


 私達の幻



 渡り鳥だって故郷を捨てきれない


 多分この世界には


 果てという名の限界なんて無いんだ


 ただ永遠とも思える白と


 時々鮮やかな緑


 色だけが果てを超えて


 私達に永久という幻想をもたらす


 ねぇ知っている?


 鮮やかな色


 色を現すすべての音色


 春も


 夏も


 秋もそれから冬も


 言葉ではあらわせない思いで溢れていて


 優しい時も、厳しい時も、


 全部、全部が私達。


 だから悲しまなくてもいいよ


 季節が途切れても、


 姿を違えた私にまた出会える



 奇跡を信じよう


 ほら、水の流れが緩やかにまた笑った。


 一つ命が朽ちても再び芽生える生命力


 私達は悲しいときは悲しいと


 嬉しいときはうれしいと



 そう、心を授かった


 精一杯、



 精一杯生きて、生きて、またさよならが来ても


 大地に抱かれて色の祝福をうけて、


 伸びた影、つないだ手をうつして



 どうか忘れないように


 再びこの地に降り立とう



 だから手を離さないよ



 そうやって永久という約束の下紡がれた長い長い物語を
 



 私も語ろう。愛すべきこの大地について。