儚さは幽玄

 炎は連続のもとゆらめく



 さんざめくその光の帯は



 雲の切れ間より道を一つ作り



 粒子漂う中に君をみる



 一瞬、一瞬の煌めきは



 時に正しい、時に惑う、



 少なくともあらん限りの力振り絞って前を凝視しようとするその姿を映し出したのだ



 道に惑うは群から離れた鳥



 偽りに喜ぶは川のせせらぎに耳を澄ます子鹿



 幸せとは何事か



 葉がゆらりさざめいて笑う



 知っているのなら、



 迷う事などないのだと





 老衰した旅人は我が身を憂う



 旅人はいつか気付くだろう



 髪に覆われた暗い視界のその外は光に溢れている事を



 終わらない連続の中で



 風に身を任せた背の低い木が枝を揺らし、君の上に太陽のあたたかな光を遊ばせている事を。