言葉の力

 悲しいのなら泣くと良いよ


 寂しいのなら身を任せると良いよ


 穏やかならそのまま微睡んで


 空を見て


 雲の切れ間から


 見えない。


 見えない暗い井戸の底なら


 想像しよう


 言葉でしか武装できない私達は


 言葉を紡いで夢を見るんだ


 音のない世界


 雲の彼方、風の自由


 西の空はほのかに茜色


 茜色に浸された宇宙


 空を見て




 空を見て


 ほら一人でしょ


 誰かのそばにいたって


 空見上げて両手広げて


 自由のふりして孤独は寄り添う



 的外れな誰かを望んでた君にとって、


 今がたどり着けない理想だったのなら


 思い出にならないと私はかなわないと思ったんだ


 けど空を見て


 美しいと感じたのは


 人が人を反射する


 その心が君だったから


 孤独に寄り添いながら


 手のあったかさを伝って


 心を抱えて映す映像は


 ただ静かに、


 私を見下ろしている