アシジの聖フランチェスコ

 フランチェスコの絵本は私の宝物です。


 金子みすずの詩も大好きだけど


 これは私の祈りに近い



「このよは にくしみに みちている」


「きずつき うしなわれてゆく かなしみの ひとびとよ」


「まるで くらいもりに まよいこんだようだ」


「だれか おしえてください わたしは だれなのか わたしは どこへゆくのか」


「フランチェスコは かげのようにさまよう ながく まがりくねった みちを」


「なやみ くるしむ わすれられたひとびと あなたたちこそ わたしの友ではないのか」



「あなたに すべてを おかえしいたします そらにうたう小鳥 野にさくゆりのように わたしは いきるのです」



「そっと まどをあけて このひかり この風のうたを きいてください」



 一見真っ直ぐに見える道、

 光をぬうように口を開ける闇、

 上の世界はとおくとおく、

 足元の沼は薄寒く淀んだまま、

 時折そんな自分が見える。


 光ある空はどこまでも続く、

 それはあまりに大きすぎて

 そして澄み渡っているから、

 何だか悲しくなって、

 涙がとまらないんだ。