ループ、ループ


 南極にはペンギンがいます


 ペンギンだけじゃない


 何かもっと色々います


 アザラシとか


 ラッコもいたかな。



 人はアフリカで生まれました


 そして長い長い旅に出ます


 日本人は


 北からやってきて千葉あたりに留まったり


 南からやってきて九州を一巡り


 実はイヌイットの人々は、


 モンゴロイドなのですよ


 一つは中国からこちらに渡り、


 一つは歩き続けてアラスカに


 だから日本人そっくり



 厳しい冬の自然を


 共存する環境として手を広げた彼らは


 玄関の暖かさを誰よりも熟知していたのかもしれない


 気付いて初めて彼らは、


 旅の終わりを、悟ったのだろう。






 頭数が激減する危険な行進を繰り返し、繰り返し、楽園へと旅するペンギン


 海の上に船を浮かべる、アジアの民





 生き物は、


 楽園を探す事運命付けられる


 全ての組織が、細胞が、


 良く、生きるように、生きるようにと


 鼓動を続けるから。





 大地に住むものの孤独


 全ての生物は海に生まれた。


 私達は、海を捨てたんだ。


 もう戻れない。


 振り向くなんて、できないのだから



 だから旅をしよう。

 永住したいんだったら、それでもいい。


 でもまだ若い、私達はやっぱり旅をしよう


 海とは違う、踏みしめなければ開けない道しかないのだから


 遙か昔から、先祖が、


 必死になって築き上げた


 海の近くで、


 遠くで、


 同じように二度と離れぬ孤独と寄り添いながら



 楽園は遙かな道の先にしかないと。


 何度も何度も、言い聞かせながら。





 傷ついても傷ついても


 立ち上がり前に進むのは、


 その先に広がる光景が、


 どうしても、見たいから。


 雪の中に広がる空


 暖かな家


 走っていく子供達



 傷が癒えなくて、


 更にえぐられて、


 踏みにじられて、


 それでも前を見るのは、


 その先に滲んだ風景の美しさに、


 もう少しで抱かれるのを知っているから。





 私達は旅人として生まれた。


 旅人になること、選んだんだ。


 海を捨てた、その日から。


 海の外に広がる光の幻想が、


 余りに綺麗で、


 暖かくて、


 失うものは大きくても、


 死ぬまで孤独に、足をつかまれていても、



 それにみまう、素晴らしいものを、




 生命は確かに、遙か昔に見いだしていたのだから。