きみがたたかっていたのはしっている

 君のことが好きだった

 今の季節はちょうどあの頃みたいに

 侘びしくなってきた夕陽の匂いがする


 違えたものは時の流れ、容赦なく

 僕を君を現実のただ中へと誘っていった

 変わってしまったのは君か、僕か

 少なくとも、くすぶる気持ちに理由をつけて、君にありがとうを付けて見送った、ハズだった

 完璧な計画、杜撰な感情の管理は、

 あの日のさようならを、くみほどいてゆく



 僕はこの季節になると、
 置いて行かれた僕と出会う

 つないだ手を放したのは、僕だ


 この季節、しんと静まった早朝の影を、

 置いて行かれた僕はゆっくりと歩いている



 幸せを探して手に入れた幸せ

 僕は今の僕は声を大にして言えるのだろうか


 君が好きだった
 僕は幸せになった


 僕ら姿をくらませた生涯の友を

 それでも片隅でさようならを告げられずに

 闇雲に手探りで再び出会うこと夢見ている



 どこまで歩いていけば
 本当に綺麗なものがあるんだろう



 さようならと言える訳もなく、

 無理やり形作られる現実の世界を

 ただ存在する世界を、いまだに見つめている。