時の流れは

音もなくただ移りゆく黄昏


色だけは濃く軌跡を残した空に無数の傷跡


白いまま見上げていると紛れ込んだ鳥が一羽舞っている


薄めた紺青冬の宇宙


振り返ればどこまでも届く大地に打ち寄せる小波


迷子の渡り鳥弧を描きヨロと鳴く


鳥の残した傷跡無数の星を吸い込み


そうやって輝いた、過去達はまだ燦然と羽ばたく


飛翔しきれぬまま


残された私は足元の大地の美しさに


目を奪われへたりこんでいる


迷子の鳥の行方はついぞ知れぬ


知らなくて良い、ただ残していく物の存在は広大な範囲を網羅し


宇宙は目を向けなくとも常に静止を続ける



時は黄昏またのぼる太陽の為に


夜を越え傷跡は遙か眼下の私を照らす


鳥はやがて楽園に辿り着くだろう



無数の星が旅人に在るべき場所を静かに語り始めた



耳を傾けてごらん


眩しさに目を背けずに